あのね、聞いて。
青春の話なんだけど。
入部届に名前を書いて。
連絡先も書いて。
拇印も押して。
サークル活動はGW明けからだって言われた。
団長もまだいないしねって。
本当に優しい人たちだった。
花の応援団って知ってるかな?
って言われた。
知らなかったけど、君たちの親世代は知ってるかもしれない。
あんなことは絶対ないからねって言われた。
しかし。
学内で会う人たちに応援団に入ったことを話すと。
大丈夫なの?みたいに言われた。
あそこやばいって聞くよ。
厳しいんじゃないの?
みたいな。
そんなわけないじゃない。
みんないい人だったよ。
僕は思った。
そうこうしているうちにGWになった。
ひさしぶりの親との再会。
こんなにも親と離れたことはなかった。
家に帰って「ただいま」って言うと「おかえり」って言われるありがたさ。
おいしいごはんが出てくるありがたさ。
テレビをつけていなくても音がある生活。
とってもありがたかった。
そして親に応援団のことを詳しく話した。
入ったことは軽く話していたんだけどね。
そしたらとっても心配された。
そして、やめた方がいいと思うって話になった。
なのであのいい人たちに、GWがあけたら申し訳ないけど退部させていただくって話をしようと心に決めた。
あんな楽しくていい人たちと離れるのはさみしい気もするけど。
でも、親も心配してるし。
そしてGWがあけた。
また1人暮らしの生活。
今日はサークルを辞める話をする。
勧誘している広場に向かう。
辞退する話をした。
そっか。
そう言って先輩は言葉を続けた。
君をやめさせるわけにはいかないんだ。
君がもしサークルを辞めるなら、学校ごと辞めることになるよ。
僕たちは手荒なまねもしたくないし君にそんな悲しい思いもさせたくない。
だから君はサークルを辞められないよ。
学校を辞めたくないだろう?
僕は絶望した。
なんというところに入ってしまったんだ。
でも、せっかく親が行かせてくれた大学。
辞めるわけにはいかない。
お金も払ってもらっているし。
その日、まっちゃんと約束のすれ違いがあって、初日のサークルにちょっと遅れた。
すみませーん、遅刻しました。
ぐらいのテンションだった。
するといきなりしばかれた。
竹刀で殴られ、四股立ちという空気椅子のようなきつい体勢でガマンすることをかなりの時間させられた。
足がぷるぷるになった。
けど、落とす(=姿勢を維持できず地面にひざをついたりお尻をついたりすること)は許されない。
落とすとさらにしばかれる。
けど、腰が高くてもしばかれる。
顔から体から、ボトボト汗が出た。
初めて見る団長の前で、初めてのしごき。
団長の後には木刀(木剣と呼んでいた)がたくさん並べられていた。
なんとか初めてのしごきは終わった。
部室のみんなが入れる部分には、花の応援団がずらっと並んでいた。
あぁ、もう普通の学生生活には戻れないんだ…
と思った。
聞いてくれてありがとう。
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